義歯

義歯とその心

義歯を作る場合に、いつも心がけることがあります。
それは、〈義歯が心を持つ〉と、いうことです。

何か荒唐無稽なことを申し上げるかに思われるかもしれません。
でも、あながちそうでもありません。
そこで、それについて、説明させていただきます。

さて、「玩物喪志」ということばがあります。
これは、ものを玩ぶというと、志を喪うという意味でしょうか。
つまり、努々(ゆめゆめ)、義歯を玩んではいけません。
義歯を玩ぶというと、その持ち主を義歯がいやがって、さらには持ち主を嫌って、逃げてしまうことがあるのです。

さらに、付喪神という存在があります。
これは室町時代に書かれた書物の『付喪神絵巻』にあります。
ものには、長い年月を経るというと、何かスピリチュアルなものが、宿ることがあるそうなのです。

ものを大切に取り扱おうということなのです。
ものには心が宿るからなのです。
という古い日本の、戒めの一つなのです。
15Oct10