心身歯科

自臭症はアイデンティティーの病理か?

アイデンティティーというアイデアが日本に登場したのは、明治以降近代化の過程でのことであった。それ以前には、アイデンティティーということについて、我が国がそれを意識して問題化することはなかった。個人そのものがなかったのだ。
個人とは語源でいうと、もうこれ以上分解することのない(自分)ということだ。
そして、アイデンティティーに代わって、そこには忠孝の儒教由来のものである精神があったのだ。すなわち親の前にいる児としての存在が「孝」であり、上司に対する部下としての存在が「忠」ということであった。
それ以外のわたしは存在しない。滅私奉公なのであった。死を賭して目的を果たすことが切腹であり、その美学が称揚された。
明治以降文学の中で、「わたし」の存在を意義あるものとして描く小説が登場した。その最たる書き手が夏目漱石である。
さて、このアイデンティティーの病理が自臭症であるといってよいのではないか。そう思うが故にこの項を続けてみたい。
16Dec13